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2013年 08月 13日

【藤野アトリエ】「草稿完了。点の集中から異なる次元」2013.08.13

【藤野アトリエ】「草稿完了。点の集中から異なる次元」2013.08.13
締め切りが迫っていた原稿、昨日草稿やっと完了。PC脇の書き机は本がうずたかく積まれていくばかりの2週間だった。

時折集中して原稿と取り組むことがある。その都度不思議な空間体験の意識が覚醒される。
それは長時間ほとんど机の前に座り、PC画面とA4以下の紙面の中のみを行き来するきわめて極小な空間でのいわば点のような活動なのだが、それがなぜかとてもとても広大な場に行っていたような感覚として保管されているのだ。
本来、点には運動性が認められない。だがそれは点の打たれる仮想の平面が前提になっていて、その平面上においては確かに点の移動性は認められないことになる。が同時に人は点に集中性を見出す。それはその平面に直交する運動で、定点の視点からの異方性においてそれは見逃されてしまう運動性なのである。
読むという行為は線的運動である。小さな紙片上の小さな線運動に、考えること、集中という前後方向への移動運動を加え、積み重ねられた書籍層の不透明な各層を半透明化し、それぞれの層上に仮象された空間をオーバーラップさせる。それは点にいながら現実の空間をやすやすと超え、地球上を移動する、さらに隔てられている異なる時代区分へも、そして多くの芸術家、思想家が制作、著述に際し想定していただろう、時にイデアなどとも呼ばれる、もう一つの世界、そこへの移動と滞留。広大な場と感じられたのは、そこまで拡張された空間、次元だったのだろう。

点と集中を考えていた時、なぜか、幼い頃の暑い夏の日、太陽の陽光を虫眼鏡で白い紙に集めていた時、まぶしいその紙面に小さな黒い点が突如現れた次ぎの瞬間、間もおかず白い煙が揺らめきながら立ち上がったその時、紙の面に穴があけられたその時の光景が浮かんだ。
空間が破れたその時、現れたのは異なる次元・・・・。

その間、庭では、今年最後の4輪目の蓮が咲く。

計画が遅れていた制作。まずは壁面にキャンバスを掲げる、今回は壁面最上部に、先ずは地塗りから。


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by toshiya-motai | 2013-08-13 16:15 | 書評執筆


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