2014年 10月 26日
【中西夏之展 ヴェルフリンシンポ】2014 .10.25 メルロ・ポンティの用語、交叉、相互交差を意味するChiasme=キアスムを名づけた「中西夏之 キアスム」展。 アトリエを再現したかのようなそのインスタレーションは、何度も訪れた大月のアトリエを想い起こさせた。とりわけ1994年に初めて訪ねたアトリエを強く僕に蘇らせたのだった。 そこには、件の長い柄の数本の筆と木炭が垂直に立ち、イーゼルに咥えられ中刷りにされた複数の大作絵画が重なり合いながら正面に向く。そして床には夥しい数の本作のためのドローイングが整然とまるで制作過程の記録のように置かれていた。その時々のすがたを定着したかのような紙片は床面から舞い上がり、その時々の直前のすべての時間は一枚の大作絵画の層として重ねられ僕の正面に立ち現れたかのように感じられたのだった。そこは魔術的にも生気みなぎる有機の磁場であり壮大な実験場にも思えたのだった。 あれから20年。あの時にはまだ現れていなかった未発生の作品が、壮大な試みが今会場で層を重ね正面性のもと僕に押し寄せてきているように感じられた。 重ねられた矩形の層に僕のフレームで層を重ねてみる。 時間が許されず遅延している伊豆アトリエを思いながらギャラリーを後にする。 どうしてもはっきりさせたいことがあり、美術史学会、国際シンポジウム「ヴェルフリン受容」慶応大学、三田へ。院生二人と合流。 カナダ、スイスの教授を含む4人の研究者の発表は、日本における受容、そしてラテンアメリカにおいては近代受容とともに通時性に潜むダイナミズム故の政治的側面への指摘が、または仏像の様式分析実践、さらにヴェルフリン受容史においては僕がもっとも関心があったグリンバーグのフォーマリズムについての言及もあり、発表はそれぞれに刺激的であった。モデレーター前田富士男先生によるパネルディスカッションではポストコロニアル、ポスト近代からの照射も加わりニューフォーマリズムなる語も耳にする。もちろん難解でもあったし、整理するにはもう少し時間がかかるだろうが、推定のもと考えを進めていたことへの確信が深まった。 もう昨日になったが、今日はとてもとても大きな一日だった。 ![]() ![]() ![]()
by toshiya-motai
| 2014-10-26 16:20
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